東北医科薬科大学 消化器外科学教室・肝胆膵外科学教室

下部消化管グループ

下部消化管グループは、以下の理念を掲げて日々の診療に取り組んでいます。

・シームレスな診療連携
・患者さん第一の安全な手術
・最新の知見を取り入れた治療方針の樹立
・敬意と感謝を込めたプロフェッショナリズム
・テクニカルスキル・ノンテクニカルスキルの両輪
・メンバーがベストパフォーマンスを出せる環境づくり

当グループでは、大腸癌に対する手術を中心に、結腸憩室炎、炎症性腸疾患、腸閉塞、腹壁ヘルニア、直腸脱や肛門疾患などの良性疾患に対する手術も積極的に手掛けています。最新の手術器材を取り揃え、常に安定した手術成績が得られるよう鍛錬を積んでいます。

当院は日本大腸肛門病学会の定める大腸肛門病施設に認定されており、幅広い疾患を経験することができるため、日本大腸肛門病学会専門医を取得することも可能です。

また、日本内視鏡外科学会技術認定(大腸)取得者を筆頭に、全員が術者・助手としてスキルを磨ける指導体制を築き上げてきました。今後も、技術認定取得を最優先の目標に設定し、チーム一丸となって邁進していく次第です。

以下、当グループのトピックスを紹介いたします。

(1)大腸癌に対する腹腔鏡手術
当グループでの大腸癌切除術件数は約130例で、総数は年々増加傾向です。2022年度の腹腔鏡手術実施率は90%を超えました。メンバー全員が、術者および指導的助手の役割を担うことができるチームです。そして、2023年5月から直腸癌に対するロボット支援腹腔鏡手術を導入いたしました。今後、結腸癌に対しても適応を拡げていく方針です。腹腔鏡下大腸切除研究会の施設会員であり、施設間交流も積極的に行っています。

(2)進行下部直腸癌に対する集学的治療
局所進行下部直腸癌を対象とし、治療成績の向上を目的とした術前化学放射線治療(NACRT)または術前化学療法(NAC)を、腫瘍内科・放射線科と連携し積極的に実施しています。適応は限定的ですが、NACRTに化学療法を組み合わせたTotal neoadjuvant therapy (TNT)を実施、臨床的に完全奏効が得られれば手術を回避するという試みも行っています。

(3)良性疾患に対する腹腔鏡手術・ナビゲーション手術
近年増加しつつある結腸憩室炎に対して、可能な限り一期的切除吻合を行う方針として腹腔鏡手術を行っています。発光尿管ステントを活用した手術症例の論文発表や、関連学会での報告も定期的に行っています。また、腸閉塞に対する手術治療においても腹腔鏡手術を第一選択としていますが、インドシアニングリーン(ICG)を補助診断として用い腸管血流の評価を行うことで、腸管を可及的に温存できるよう努めています。また、腹壁(瘢痕)ヘルニアに対しては、上部消化管グループや肝胆膵外科と協力しながら、Endoscopic Mini- or Less-Open Sublay operation (EMILOS)法を主軸とした低侵襲かつ再発のない術式を選択しています。

(4)精力的なストーマケア
進行大腸癌に対する根治手術や消化管穿孔などの緊急手術の場合、ストーマ(人工肛門)の造設を伴うことがあります。その際は、皮膚・排泄ケア認定看護師を中心に病棟・外来看護師と協働して問題の解決を図りながら、患者さんのQOLを重視したベストケアの提供を目指しています。当院は、ストーマ外来を併設しているほか、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会の定めるストーマ認定施設としても認定されています。また、管理困難をきたした傍ストーマヘルニアに対する腹腔鏡下修復術も積極的に検討しています。

いつも明るく、真摯で前向きなチームであることを自負し、それを最も大切にしています。
困りごと・相談ごとがある方、一緒に働いてみたい方など、いつでもお気軽にお声がけください!

下部消化管グループ
佐藤好宏、三浦智也、北村 洋、辻仲眞康、柴田 近(科長)